Gunosyが置き去りにしたSearchの意味

株式会社Gunosy初の発表会で、代表の福島氏がスピーチしている。
http://logmi.jp/27930

立ち上げ3年目にしてダウンロード700万。最近では月間DLが100万のペースとなりぐんと加速した。(MAUの規模は不明ながら)DAU/MAUのアクティブユーザー率46%云々と景気のいい数字が並ぶ。サービス開始時のニッチに終わるのではないか、という憶測を、良い意味で裏切ることができたという福島代表は振り返る。本当にすごいなあと思う。

そして今後は、スマートフォンのポータルサービスとしてGunosyを位置づけていくという。めでたい話である。しかし、そこに到るまでの経緯のロジックには首をかしげざるを得ない。

発表に使われたスライドで、彼はまず、AISASを持ち出す。

Attention→Interest→Search→Action→Share

そしてこれをPCのユーザーの行動モデルと位置づける。ここにおける真ん中のS、すなわちSearch、検索の役割がスマホでは揺らいでいる、と説く。で、次のスライドで、このSを抜いた行動モデルを提示している。

Attention→Interest→Action→Share

書き起こしを読む限り、福島代表は直接的にこのモデルについて言及していないが、AISASをPCのユーザーの行動モデルとするなら、Gunosyの想定するスマートフォンのユーザー行動モデルだと考えて良いだろう。

しかし、AISASからSを抜いても、AIASにはならない。なぜなら、AISASの二つのSは互いに関連するもので、AISASからSを抜けば、AIAになる。もっというと、AISASのS抜きは、古典的なAIDAである。

そもそも、AISASは、インターネットが、それ以前のメディアになかったユーザー(消費者・生活者)の能動性、すなわち意思が検索や共有という行為を生み、意思の反映としての行為を行動モデルに組み込む必要によって成り立っている。

Shareは、何かをした、何かを買ったという行為を自分の意思(Intention)の表現として行うというそもそもの前提がある。Searchにおける、行為の能動性または意思の発露を捨象してしまうことは、行動モデルとしてはそれに連なるShareも同時に捨て去ることになる。

AISASからSearchを抜く、ということは、その行為の主体者であるユーザー(消費者・生活者)に対する見方を変えると言うことでもある。消費者を、より受け身の存在として見なす、というものである。これは、デバイスがPCであるか、スマートフォンであるかを問わない。

福島代表は古典的な検索を通じた購買への過程が消費者にとって煩わしいものだから、(とりわけスマートフォンでは)その過程を省くことのできるより便利なポータルサイトを構築したいという意図のもとにAISASからSearchを抜いて説明したのだと思う。

しかし、それは今のところ、Gunosyは従来同様のマスメディアになる、ということと変わらない。

何よりも、行動の起点が記事という名の広告におかれている。彼の発言中記事というコトバは7回出てくるが、それをすべて広告に置き換えても全く違和感がない。そこにはGunosyがとりまとめた記事という名の広告連動の情報を提供することで、消費者は関心を高め、それを欲しいと思い、間髪を置かず買う、さらにはそれを他人に告げる(シェアする)という一直線の行動の想定がなされている。単純な刺激-反応(SR)モデルである。

福島代表はこのスピーチの冒頭で、「情報を世界中の人々に最適に届ける」のがGunosyのミッションだ、と述べている。ここでいう情報の典型はGunosyによって選ばれた記事だろう。「最適に届ける」ということが、今現在どのようになっているのか、進化の様相もわからなければ、そもそも最適とは何か、ということも不明なままだ。

スマートフォンのポータルを目指すというGunosyにとって、検索の役割が変わるということが意味するのは、単に広告連動(もしくは広告発信主体の企業チャネルへの送客につなげる)によって、検索させないだけではないか、という懸念は今のところ拭えない。それがAmazonをどうやって乗り超えるのか、スマホポータルとしてGoogleとどう闘うのか。

告白しておくと、僕は今年になってから、Gunosyを参照することがなくなり、今ではスマホから削除してしまった。一番の理由は、Gunosyのユーザー数拡大に伴って、自分にとって関心のない、適切でない情報ばかりが送られてくるようになったからだ。送客パワーの源泉は、「最適に届ける」ことにあるはずなのだが。

福島代表とその仲間は再び、良い意味で懸念を裏切って欲しい。

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大下文輔 について

Communication Strategist, Freelance
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