オンライン広告考2 Negative Impact of Advertising

苫米地のリターゲティング広告に辟易して、オンライン広告の負の効果について考えるようになった。

旧来のマスメディアにおいても、広告の負の効果は存在した。広告接触以前から商品やサービスに対する負の感情を持っていたり、推奨者や起用タレントに対する嫌悪感があったり、広告表現に対する不快感を持ったりした場合である。広告表現が差別的であるとして社会問題化したこともある。あるいは、断り書きの文字サイズが小さすぎて誤解を与えかねないことを不満に思うことなども負の効果と言えるだろう。

こうした負の効果も、オンラインのリターゲティングにおけるそれに較べれば、相対的に小さかったと言える。リターゲティング広告において負の効果がより高まる理由はいくつかある。

第一に、リターゲティング広告は露出の度合い(Share of Exposure)および頻度(Frequency)の二つが極端に高まること。

第二に、リターゲティングは、個人をオーディエンスとしているもので、「今広告に接触している人は広告されている商品やサービスの利用・購入の対象ではない」というエクスキューズがきかないこと。これは、広告送出の仕組みから言えると同時に、広告接触が極端に高まることによって、そうした仕組みを知らずとも「明らかに自分を狙い撃ちしている」という自覚を生む。過去にそのバナーをクリックしたという記憶があればなおさらである。

第三に、こうした広告バナーの視聴をする際、その広告を否が応でも目にしてしまう、メディアの強制力が増すこと。たとえば、旧来のマスメディアなら、その広告に接触するかどうかはある種の偶然に左右されやすい。これは、広告が時間上、空間上の定位置にあってそちらにオーディエンスが寄っていくのに対し、リターゲティングはオーディエンスの視線の先を追うような形で提示されることの違いによる。

第四に、オンライン広告は、それに接触した人のアクションをより強く期待するものであること。言い換えればConversionをより強く意識した広告の割合が増える。リターゲティング広告は、すでに商品やサービスに関心を持っている人を対象としている、という仮定のもとに送出されるため、どうしても主張が強くなる。マーケティングファネルの下層(BoFu)を狙ったものが相対的に増える。しかし、オーディエンスが当初から商品やサービスに対して無関心や無理解であった場合には、そのギャップは大きい。

こうした負の効果があることを(うすうすながらも)知りながら、Zajoncの単純接触効果などを援用してリターゲティングをすすめるオンラインビジネス営業用のブログなどを見ていると、何とも悲しくなる。(証拠はあるがあえてリンクは貼らない)。マスマーケティングとone to oneの混同、および行動変容のステージが整理されていないことに気づいていないらしい。

誤ったターゲットにピンポイントで広告を送ることは、広告主にとって、リスクの増大を招くことを意味する。これは、これまであまり重要視されてこなかった、広告のリスクマネジメントが必要になってくるということでもある。同時に、負の側面を加えなければ正しい広告効果測定などできない時代がやってくるようにも思える。

広告

大下文輔 について

Communication Strategist, Freelance
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