コンプガチャはゲーム化(ゲーミフィケーション)とどう関係するのか ?

「コンプガチャはゲーミフィケーションを殺すか~コンプガチャの動機付け理論的解釈~」、と題された 深田浩嗣さんの記事、とても丁寧に自分のスタンスを表明し、意見が書かれている。そしてコンプガチャ問題がゲーム化(ゲーミフィケーション)の「市場活性化を阻害する要因になるかどうか」について、関係ないと見るべきだという点には同意する。だが、しっくりこない。 「対岸の火事」というスタンスは、あくまで法的もしくは強い倫理的問題に限っての話だと思う。

コンプガチャには二つの側面がある。一つはニュースを賑わせた法律に抵触するような問題。もう一つはゲームメカニクスとしての側面。前者は当然避けてしかるべきものである。

法律がらみで言えば、ギャンブルとしてみたら確率が提示されていないとか、ガチャ出てくるアイテムを「景品」としてみたときに、絵合わせという形をとるから景表法違反、ということだけど、そうした問題点を除いたとしてどうなるかが論点だろう。ゲームメカニクスとしての側面を見るべきなのである。

冒頭で、しっくりこない、と書いた理由は「ゲームメカニクスとしてのコンプガチャ」を不要とする理由がどこにあるのかわからないからである。いや、フォーマットとしてのコンプガチャだよ、と言われたとしてもなぜ否定(または不要)するのかがわからない。この記事の主張は、コンプガチャ(のメカニズム)などなくともゲーム化は可能、という限定的なものではなくて、コンプガチャはいらない、という不要論である。

ゲームメカニクスに着目すれば、利用目的に則した動機とコンプガチャは関係ない、とするのは誤りだろう。「稀少なアイテムを集めたい」というのは強力な内発動機でもある。アイテムそのものがきっかけであるけれども、「稀少である」という事実も一方で動機付けの大きな部分を担っている。「期間限定」「買えるのはここだけ」には誰だって心惹かれる。お菓子のおまけシールだとか、コレクター以外には屑でしかない製造ミスの貨幣や切手を一所懸命に集めるのと同じ。それが、仮想世界という高速フィードバックがある場所で、他人との競争もそれなりに意識することは、動機付けのブースターが備わっているようなものだ。 それをゲーム化の目的の一過程にどうして組み込めないのだろうか。

稀少なものを集めたいと思うのは、そのことにより、機会損失を回避し自由を確保できるからだと説明される。あるいは何かがないとできない、という不自由に対する抵抗、いわゆる心理的リラクタンスの解消である。(例えばチャルディーニ「影響力の武器」。) それに、アイテムはパワーアップという要素が加わって、そこにガチャ(のようなもの)が存在するならますます運に身を任せたくなる。

ガチャに組み込まれた運、は変比率強化スケジュール(VR)と変時隔強化スケジュール(VI)の組み合わせとして解釈できるし、それは今だってゲーム化の定番メカニズムの一つである。努力(行為)に対してもれなくおきまりの報酬が与えられても、退屈でしかない。

以上を勘案すると、いわゆるガチャはゲーム化の一つのアイテムには充分なり得るし、(コンプ)ガチャを使うこと自体を問題視すべきではないと考える。フォーマットがガチャだからいいとか悪いとかいう話ではないのである。運試し、や運の伴うアイテムコレクションをゲーム化の一要素として認めるかどうかが問題で、これらを要素として認めない理由などない、というのが僕の見解。早い話がゲームメカニクスは没価値的であって、それをどう使うかが問われるべきだし、答えはユーザーが出してくれると考えて良いだろう。

レアアイテムを手に入れよう、集めようということを組み込んで、ブランドやサービス、製品へのエンゲージメントが高まるなら、あるいはビジネス以外の目的に使えるなら、それでいいではないか。そこまで拡張して考えておかないと、自縄自縛になるのではないか、と懸念する。少なくともコンプガチャに備わったゲームメカニクスを使わないなんてことは、ゲーム化そのものの否定でしかない。

蛇足ながら、(コンプ)ガチャのメカニズムだけでを使ってゲーム化をしたらどうなんだ、という話ではもちろんない。そんな前提で議論をしても何もならない。

失礼ながら、深田記事にある、フローによる説明はエレガントじゃないなあ、と感じた。理由はまず、フローは創造的活動(生産)を前提とした話であること。また、書き手も承知しているように、チャンス(運)とスキルは別物。スキルは金で買えるものではなく、努力を要するものだから、このフレームにそぐわないと思う。

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大下文輔 について

Communication Strategist, Freelance
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